そういえば、人っていつからお葬式をするようになったんだろう?なんか当たり前にやっているし、時代劇とかでもやってるの見たことあるから、この頃からあったんだろうな。それにしても、今とはお葬式の感じが違うなぁ。
あなたもテレビとかを見ていてそんなことを考えることがあるのではないでしょうか?
普段は気にしないけど、一回気になるとこういうのって解決したくなりますよね。私は葬儀屋に入ってからテキストなどで学びました。(近年はお葬式屋さんも葬祭ディレクターなる資格があるので)
というわけで、今回はお葬式の歴史についてを書いていきたいと思います。
現代に住む私たちは何となく「人が亡くなったらお葬式はするもの。」と漠然と思っていますが、いつからお葬式は存在するのか?シリーズとして何回かに分けて書いていきます。
今回は一番初め。人類のお葬式の始まりの部分~日本古代のお葬式を書いていけたら。と思います。
お葬式の起源
さて、いつからお葬式を行っていたのか。ですが「死の文化史」という本を参考にすると、たぶん、ネアンデルタール人のものだと思われる人骨の周りを調べたそうです。その周りの花粉の分析から、すでにこの時にはなんらかの弔いをしていた。(亡骸の周りに花などを手向けていた。)と推測されるそうです。
そう思うと人類は、いわゆるヒトになった時からお葬式をしていた。と考えられます。
日本古代の葬儀の歴史
時はぐっと現代に近寄りますが、日本の葬儀の歴史を紐解くきっかけは、歴史の授業にも出てきた「古事記」の記載にあります。
古事記には喪屋というものが出てきます。原文では表現がわかりにくいのですがざっくり現代語に直すと~亡くなった後に喪屋(遺体安置所)を作って、旗を持つ人や食事を出す人、感情を表現する人という役割を持ち、歌ったり踊ったり(現在の感覚よりも歌舞伎を連想して下さい)という儀式を行った~
とこのような内容が記載されています。(気になる人は原文を読んでみてください)
つまり古事記に記載されている時代にはすでに、人が亡くなった後に儀式をしていた。ということがわかります。また、古事記と同時期の風土記という物には、葬列が行われた記録もあります。
現在では一般に見ることのない葬列ですが、野辺の送りという名でテレビなどで見たことがあるかもしれませんね。
日本古代の死生観や葬儀に関する考え方
前項のように、日本では古代から死者を丁寧に取り扱っていたようですが、現代と違う様々な事情があったからかもしれません。
何故なら、現代ではお医者さんが生死の判断を行い、死因を特定します。しかし、古代では生死の判断を正確に行うすべがない上、確証が持てず、周囲が「亡くなった」と納得するまでに相応の時間がかかったと推測されるからです。
なので、死んでいると自分たちで判断しても、しばらくはまるで生きているかのように扱ったのだと思います。この期間(もがり)に喪屋を作って安置したのは遺体の腐敗が始まるので、さすがに自宅で安置。というわけにはいかなかったからでしょう。
現在も通夜がありますが、通夜はこの慣習(もがり)の名残といわれています。
死の世界、死霊への恐怖
日本古代の葬儀の歴史でも書いたようにこの時代は亡くなった後に、歌ったり踊ったり食事を出したりといろいろな事をしています。これは、死者の霊(死霊)は荒ぶるものと考えられていたため、霊を鎮める必要があったからです。
先にも出た古事記には、いわゆる死後の世界「黄泉の国」に関する記載があります。黄泉の国は、腐乱死体に蛆が湧く汚くおどろおどろしい世界に描かれています。
この時代の考え方は、死は穢れ。死者の霊は生きているものを黄泉の国に引きずり込む恐ろしいもの。と考えられていたことが伺えます。古代の人々は死者を大切にする傍ら、死は穢れていて恐ろしいもの。という相反する考え方が共存していたことと思われます。
また、死、死霊は恐ろしいという考え方は縄文時代の遺跡(墓)にも見て取れます。亡くなった人を埋葬する際に、遺体の上に石を置く「抱石葬」という方法で埋葬されているものがあるからです。こうした埋葬はあきらかに死や死霊への恐れからだと考えられます。
ヒトになった時から始まった「お葬式」
ネアンデルタール人が花を手向けるというお葬式から始まり、形を変えその時代の世相や考え方を反映しながらも続いているのがお葬式です。
その証拠に文化の違う世界の様々な場所で、様々ななんらかのお葬式が行われています。人になった時にそういう意識が働いたのかわかりませんが、なんらかの変化があったのかもしれませんね。
さて今回はここまでにしたいと思います。
現在でも神道などでは穢れの概念がありますし、仏式の葬儀でも塩を用いたりします。(一部宗派を除く)何故、こういうことを行うのか。というのを歴史とともに考えると、なるほど!と思えたりすることが出てきたりするかもしれません。
シリーズなので少しずつ更新していきますが次回も是非読んでくださいね。