現役葬儀屋が教える裏話

葬儀屋と警察やいろいろな所との癒着。記事を読んで現役の葬儀屋が思う事

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このお話の要約
  • きっと値段とか諸々疑問に思うことはある
  • きっと一部の企業はそういう事をしているんだろう
  • 末端はどこも疲弊している…と知ってもらえたら

こんにちは、葬儀屋6年目に突入している葬太郎です。皆様いかがお過ごしでしょうか?

今日は葬儀屋の裏話という事で、ちょっとニュースサイトで読んだ記事についてお話ししようと思います。

早速ですが、先日、プレジデントオンラインさんのこの記事「東京都は無料なのに、神奈川県は遺族負担」父も母も異状死となった作家があきれ果てた不条理なシステムをたまたま見かけて読んでみました。
元の本はコチラだそうです。

さて、ここでは地域ごとに異なる、人が亡くなってからどういう過程を踏むのか。そしてそれは納得できるのか?について書かれているのですが、葬儀屋で言うお客様側から見たらこれはまさにその通りだと思います。

ざっくりと内容を要約すると

  • 東京都に住んでいた時は、自宅死亡時にかからなかった費用が神奈川県ではかかる
  • その費用は適正か?必要か?
  • 警察と葬儀屋は癒着しているから不必要な費用を支払わされる

というような内容です。(詳しくは元記事か書籍をご覧ください)

料金に対する疑問や、対応に対する疑問。葬儀屋は警察と癒着して利益を上げている…という(実際にこのお話の中では癒着していました)疑問。

うーーーーーーーーん。間違いなく私も葬儀屋を経験していなかったら疑問に思うだろう内容ですね。

一つ、このお話をする前に、元の記事は葬儀屋に対して、というよりも神奈川県に対して。という内容のものとなっていて、葬儀屋を一律に批判するものではないと重々承知しています。

それらを踏まえたうえで葬儀屋の末端社員として、これを読んで私はどう感じたかをお話してみます。ちなみに少し葬儀屋よりの立ち位置でお話ししますので、不快に思われたら申し訳ございません。

では早速お話していきますね。

価格は適正なのか

ちなみに、この記事で書かれているのは神奈川県のお話で、私は神奈川県でお葬式屋さんに勤めていないので少し異なる可能性があることをご了承ください。

この中で出てくる金額ですが少し引用いたします。

葬儀社からやってきた二人の男性スタッフは、棺を指定した位置に置くと、「早速ですが」と切り出して、目の前に何枚かの領収書と請求書を並べた。

「合計で13万4600円です」

異状死扱いになると、検案や搬送その他の費用は全額遺族負担だと事情聴取の際に警察から聞いていたが、まさか10万円を超すとは思わなかった。しかも現金払いのみだという。私は慌てて眼鏡をかけてしっかり請求額を確かめた。

葬儀社の請求書には「8万8220円」とあり、次のような明細が記されていた。

○搬送施行人件費……2万円
○寝台車・病院へのお迎え……1万6300円
○寝台車・検案施設往復……2万3900円
○防水シーツなど……2万円
○消費税……8020円

このような金額が載っていました。ちなみに葬儀社請求分以外の金額は検死代金です。

確かに高い。間違いなく高い。

病院で亡くなった場合も、○搬送施行人件費……2万円、○寝台車・検案施設往復……2万3900円以外はかかります。

ただ、金額的にはたぶんですが全国どこの葬儀社も似たような金額設定だと思います。

この場合は警察と癒着していた葬儀社だったとの事ですが、おおよその葬儀社は近隣の葬儀社と価格を比べながら金額設定をしています。ここで登場する葬儀社は癒着企業だったとのことで多めに設定しているかもですが、この葬儀社でお葬式も執り行えばまた違った金額なのかもしれません。

何故なら、あくまでも想像ですが、癒着している葬儀社は搬送をとりたいわけではなくお葬式をとりたいので、お葬式までしてもらえるならこの金額からいくらか割引が入るのかもしれません。

この方は、ここで現金精算と記載されていたのでお葬式は他社に頼んだのかもしれません。少なくとも私の勤めている葬儀屋さんならお葬式まで依頼された場合は葬儀代金と一緒に後清算になります。

そしてこれは真偽はわからないのですが、一応葬儀屋に勤めるものとして書いておきたいことがあります。

どの地域でも同じだとは思うが、葬儀社の費用は実走代(註・搬送時の距離を計算)と人件費と高速代や備品代などの合計だ。それらは各社から見積もりを取って見比べれば相場もだいたい見当がつく。ただ、一般的にいうと警察が紹介する葬儀社は、今時のコンパクトな葬儀を売りにする会社よりは割高な傾向がある。

このようなお言葉がありますが、これも地域性やその他考えるところがあると思います。

コンパクトな葬儀を売りにするところは、人員がいないため結局、搬送専門の会社に外注したり、夜間の対応が出来なかったりするところもあります。

コストとサービス内容は比例することも考慮に入れていただきたい気がします。

とはいえ、家電製品とかを店頭で買うかネットで買うか。そんな感じなのかもしれません。

私が勤めている地域は、警察が介入する場合でも、お客様が選んだ葬儀社がお迎えに伺うのでこのお話とは違うのかもしれませんが…。

一部の企業はそういう事をしているんだろう

次に、警察や公的機関などとの癒着の話ですが…

きっと一部の企業はそういう事をしているんだろう。

というのが私の見解です。少なくとも私が勤めている葬儀社はしていません。しているならもっと楽が出来r…おっと。そんなことを言ってはいけませんね。

ですが、そういう事案があった以上そうなのでしょう。グレーならグレーなほうが儲かるのは間違いありません。

正直、昨今はコンプライアンス問題が葬儀社にも根付いてきて、所謂「心付け(チップみたいなもの)」も無くなっています。

ええ、古株の先輩方の時代はあったそうですが、現在の末端社員は特に羽振りがいいこともありません。

話を戻して、癒着ですが、現在はかなり少ないのでは?と思います。葬儀社も普通の企業と同じです。その他の業種と同じようにちゃんと頑張ってるところもあれば昭和のように癒着企業もあるのかなぁ。といった感じです。

末端はどこも疲弊している…と知ってもらえたら

最後になりますが、このような記載がありました。

葬儀社にしてみれば、立て替えた自分たちに文句を言われ、迷惑至極と言いたげだ。それにしても嘱託医や葬儀社は、通夜や葬儀のことで頭がいっぱいの取り込み中に現金払いで請求される遺族の気持ちを考えたことがあるのだろうか?

そう。

確かにそうなんです。本当に疲弊しきっているご家族に、現金支払いで。なんていうのは心苦しいんです。

ご遺族様からしたら当たり前です。私だって逆の立場だったら怒ってしまうかもしれません。

さてなぜこんなことが起こるのでしょう。別に落ち着いたら支払ってもらえばよさそうなのに。でもそれには理由があるのです。

それは、踏み倒す方が意外といるからなんです!

「はっ?」とお思いでしょう。ええ。わかります。

しかし本当にいるんです。そんなの私は聞いてない。詐欺だ!支払う義務はない!と。

はい、これはあくまでも葬儀社側の勝手な都合で私個人としては「急に現金で10万以上の請求って…」という感じですが、葬儀社の社員としては理不尽に払われなかった場合…

その社員が責任をもって代金回収しなきゃならない場合があるんです。。。

末端の社員は「悪いな…」と思っている人が多いと思うので、そんな風に書かないでもらいたい気持ちがあります。

そして今後はどちらにもよい取り組みが出来ていければいいなと考えています。

葬儀屋が思う事

いろいろお話してきましたが、葬儀社側に立ったお話だったので、あなたも納得されないことも多かったと思います。

もちろんお客様側に立ってお話すれば、私も諸々と…なのですが、このブログはあくまでも葬儀屋のリアルを書くものなのであえてこのような記載にさせていただきました。

なんか諸々、葬儀屋は汚いイメージがありますが、社員はお客様の事を思って頑張っております。特殊な仕事のわりに、昔と違って今は給与だってそんなに高くありません。

私が調べたところで恐縮ですが、全国平均より間違いなく少ないです。そして年間の休みも少ない所が多いです。

だから何だとは言いません。でも、お葬式屋さんはあなたの事を心から思って仕事をさせてもらっていることは、少しでも思っていただけたら。と思います。

それでは、今日も良い1日を。