- 檀家になっていると困ることもある
- 簡単にできない墓じまい
- 先祖からの宗教と言っても出せる金額には上限がある
- お気持ちという名の相場がある
- 宗教選びは慎重に。誰のためのお葬式
こんにちは、葬儀屋2年目葬太郎です。
「地元にあるお墓を維持してくのが難しいから、この機会に墓じまいしようかな」
若い世代が地方から、大学や就職のために都会に出ていくのが普通な昨今。地方に残る親御さん世代のあなたも、もう都会に生活基盤が出来ているので、地元に帰ることはないあなたも、お墓のことを考える機会があるかもしれません。
または、お盆などで帰省して家族が揃ったときに、墓参りや自分たちが檀家になっているお寺についても話す機会があるかもしれません。
ちなみに現在、お墓の承継者が無くいわゆる無縁墓になっているものは、全体の4割近くもあるようです。無縁墓になってしまうと、お墓は取り壊され、いずれは合祀墓という所にまとめられてしまいます。
この記事でも書いていますが、簡素なお葬式も普通になってきた昨今、お葬式の形態というのは本当に多様化しています。
何回も書きますが、当然お葬式屋さんとしては由々しき事態(ry
おっと、横道にそれかかってしまいました。
さて、この「檀家」「お墓」ですが、せっかくお葬式についての知識を仕入れて、希望するお葬式を行う準備ができていたとしても…場合によってはそれが出来ないこともあるんです!
「えっ…葬式屋さんは、お客さんの要望を叶えてくれるんだよね?…何いってんの?」
という気持ちはよくわかりますし、当然、葬式屋としてはお客様の希望に沿うのが第一です。…ですが
…まぁタイトルのとおりなのでもうおわかりかと思いますが
お寺さんの都合でそうはいかなくなることも多いんです。
また、お墓を見る人が居ないから、お寺の管理下にある墓を、墓じまいしようと思っている場合も、そう簡単に行かないことが多いです。
さらにさらに、お布施というのは「気持ち」ですが、「気持ち」に「相場」があることをあなたは知っていますか?
「えっ!そんなの初耳だし、普段からお寺と付き合いがあるわけじゃないから…」というあなた。
私は、お葬式屋としてそういう方を何人も見てきました。
ですので、ぜひ今回の内容を読んで、いざというときに慌てないための準備をして下さい。
檀家になっていると困ることもある
まずは、初めにですが、前提として
- あなた、もしくは実家がどこかのお寺に所属している(檀家になっている)
- そのお寺に墓を持っている
- 既に亡くなった人のお葬式の時に、そのお寺にお願いしている
今回の記事はこのような場合をメインの前提にしたいと思います。
地方だと結構普通(こういう場合が過半数以上)の条件だと思います。
あなたご自身やご家族含め、無宗教、キリスト教、神道、その他の宗教の場合は、また事情が異なりますので宜しくおねがいします。
さて、檀家になっていると困る点ですが、上記の条件に当てはまっていて
- お葬式は神道でやりたい。
- または無宗教でやりたい。
- はたまた、別の格安のお坊さん派遣サービスで良い。
と考えている場合などに当てはまります。
お布施が高いので、特にその宗教にこだわりはないがとりあえずお経を上げてもらうだけでいいので、昨今増えてきた「お坊さん派遣サービス」を利用して明朗会計で行いたい方も増えてきています。
お葬式後の付き合いが無くて済むので、神道でやりたい方もかなり増えてきました。
そもそも宗教儀礼は必要ないので無宗教で。というのは地方ではまだまだ少数派ですが今後増えていくと思われます。
また親とは違う宗教に入っている(入ろうと思っている)ので離檀(檀家をやめること)したい。という場合もあるかもしれません。
いろいろな状況で他宗教でやりたい場合があると思いますが、他宗教でやる場合に困るのが
他宗教で上げた葬式の場合、檀家になっているお寺のお墓にお骨を入れるのを拒まれる。(場合がある)
墓じまいをするから、檀家を抜けたいと言っても簡単に抜けさせてもらえない。墓じまいの費用や手間が結構掛かる。
という点です。
さらにこれから、これらのことについて詳しくお話します。
檀家になっていると、そこのお寺以外の選択肢を選ぼうと思った時にめんどくさいことが発生する(主に金銭面と時間)
簡単にできない墓じまい
さて、メインとなる「墓じまい」なのですが、まずは「墓じまい」とは何かという基本のおさらいです。
墓じまいとは、文字通り「お墓を閉めること」になります。
ですが、中にはいっているお骨をどこかに移動する必要があります。
そこのお寺に永代供養を頼む方法もありますし、市営墓地、納骨堂、樹木葬など方法はいろいろあります。
それが決まったら、受入証明書を移転先から発行してもらいます。
ちなみにこの際までにお墓を移転すること、墓じまいをすることを兄弟親族と意見をまとめておかないといけません。(ここが一番目の鬼門です)ここで意見をまとめずに、墓じまいをしてしまうと、また新たな揉め事が始まる可能性があります。
それが決まったら改葬許可申請を該当する地区の役場に提出します。申請書は各市町村のHPからダウンロードできることが多いです。
その申請書を持って、お墓があるお寺に、移転の旨を伝えましょう。(ここが二点目の鬼門です。お寺次第なのですが、面倒なお寺だと100万円近くの墓じまい・離檀料を請求してくる場合もあります)
場合によっては、そこのお寺で永代供養を頼んで数十万円で合意するという選択肢もあるかもしれません。
…とまぁ無事にここまでを乗り切ったら、あとはお墓を撤去して更地にします。ただこれも自分たちでは出来ないので業者にお願いすることになると思うのですが、費用として数十万円はかかります。
やっとここまで乗り越えて、永代供養にした場合は、墓地の永代使用権をお寺に返して終わり。他の墓地を選んだり樹木葬などを選んだ場合は、新たに移転してやっと終了となります。
…お墓って立てるときはお金だけ出せば簡単ですが、その後は大変なんです…
ちなみに、「お骨」や「先祖が無縁仏になると困る」のが宗教上や信条上で不要な場合は、言い方は悪いですが、そのままにしてしまって、自分たちからは新たに埋葬方法や埋葬場所を選ぶ。というのも選択肢としては無しではないと思います。
なにせ、手間もお金もかかりすぎるし、親族間でまとまることのほうが少ないので…
ただ、気持ちの上でやっておきたい。子供の世代に迷惑をかけないようにしたい。と考えている場合は、きっちりやっておくのも良いと思います。
墓じまいをする際には、簡単には行かないので、急なときではなく、余裕のあるうちに始めるのが正解だと思います。
墓じまいをするのは、時間もお金も必要。今後のことを余裕のあるうちに話し合って、行動できる時に行動してしまうのが大事。
墓じまいをするにしても、しないにしても、今後の方針をちゃんと決めておくことが必要。
先祖からの宗教と言っても出せる金額には上限がある
次に、お墓の話からお布施の話しをしたいと思います。
いわゆる「家族葬」が当たり前になり(家族葬について詳しくはこちら)冒頭でも、簡易なお葬式が増えていることをお話しました。(簡易なお葬式について詳しくはこちら)
お葬式自体に来る人も減り、内容価格的に納得の行くお葬式を選んだとしても、ネックになってくるのは、そう「お寺」です。
ちなみに納得してお布施を支払って、お経を上げてもらうことに関しては、私は否定しませんしそれで良いと思っています。あなたやあなたのご家族が納得さえしていれば宗教や費用に関して私が言うことは何もありません。
しかし、先祖からの宗教なので…という場合で、まったく付き合いもなく、信じてもいない場合はどうでしょう?
お葬式屋さんの費用には、当然お布施の金額は含まれていません。
なのでお葬式の際に支払う金額は
お葬式屋さんに支払う葬儀料金+宗教者に払うお布施=お葬式全体にかかるお金
になります。
また、お寺によっては、簡易なお葬式や家族葬を否定するところもあり、そんなのじゃお経上げることは出来ないからちゃんと、通夜も告別式もあるお葬式にしなさい。という場合もあります。(あ、リアルですよ)
その場合、思ってた費用より多くかかることになったり、先述のお墓の件や離檀で揉めたりというケースが考えられます。
戒名や、人数によっても金額は変わりますが、下手をするとお葬式代金よりも高くなることもあります。
お葬式のトータル費用を考えるときは、お布施も含めて考えなくてはいけない。
お寺によっては、簡易な葬儀を認めないところもある。
「お気持ち」という名の「相場」がある
お葬式のときは宗教者の方に、いわゆる「儀式」の部分を担当してもらい、代わりに「お気持ち」として、お金を渡すのが一般的です。(一般的な仏教、神道の場合)
あなたがもしお寺と深い関わりがあったり、同じお寺の檀家さんと接する機会があれば知っているかもしれませんが「お気持ち」って実際いくらなの?って思ったりしませんか?
昨今は、お葬式やお盆のときしかお寺と関わる機会がないのが一般的です。
他の檀家さんと合うことも稀でしょうし、誰かのお葬式後に「お寺にいくら包みましたか?」ともなかなか聞けないですよね。
昔は、お気持ちと言う名の通り、各家が出せる金額を出していた時代もあるようなのですが、現在はお寺やお坊さんと関わる機会も少ないので各家の事情まではお寺が知る由もありません。
また、檀家が少なくなっても寺院は運営していかないといけないこと。
安定してお布施がもらえていた時代があったこと。
さまざまな理由があると思いますが、現在ではお寺に「お布施は…」と聞くと「○○万円です。」と普通に言ってくることが多いようです。
私の家はお金がないから…と言っても、それでやってくれるお寺もあれば、やってくれないお寺もあります。
現在は「お気持ち」と言う名の「相場」があるのです。
あなたが現在どのお寺にも属して無く、でもお葬式をあげるときはお経を読んでほしい。と思っているなら、ちゃんとあなたの払える金額でお経を読んでくれるお寺を選びましょう。
身内が亡くなった時に、慌てて、近所のお寺に頼むと思わぬ金額を請求されてしまうこともあります。
予め、情報を仕入れておくのが一番ですが、もし切羽詰まっている状況になってしまった場合は、お葬式屋さんに聞いてみて下さい。
お葬式屋さんは近所のお寺のことはいおおよそ把握していることが多いので、あなたの希望にあったお寺を紹介できるかもしれません。
また、どこの檀家にもなっていないのなら、定額のお坊さん派遣サービスでも良いと思います。
下手したら、100万円近い金額を言われることだってありますので、お葬式の価格だけでなく、こちらも予めよく検討しておくことをオススメします。
各お寺に相場が存在する。
何を持って良いお寺とするかは人それぞれだが、あなたが納得できる宗教者を選ぶのが大事。
宗教選びは慎重に。誰のためのお葬式
さて、墓じまいの話からお布施まで、お葬式に関わる宗教のお話をしてきましたが、あなたも「ん?」と思うところがあったのではないでしょうか?
どこかのお寺の檀家になっていたとしても、簡易なお葬式をあげたい。
樹木葬や散骨などを選びたいけど、お経だけ読んでほしい。
お葬式には人それぞれ様々な思いがあると思います。
ですが、中にはそれをさせてくれない宗教者の方がいるのも事実です。
あまり考えないかもしれませんが、この日にお葬式をしたい!と思っていてもお寺の都合が会わなければ出来ないので、基本的にお寺の都合が優先されます。
宗教部分に関しては、私から意見することもありません。
ただ、あなたが納得できるお葬式のために、考えてみてはいかがでしょうか?
多様になった宗教選びと必要性
さて、とても触れにくい話題でしたが、なんとかここまでたどり着きました。
決して、特定の宗教に対してこれが良い悪いと述べているわけでなく、お葬式をするのに切っても切れない儀式としての宗教に視点を当ててみました。
特定の何かに悪いイメージをもたせようという意図はありません。
あくまでも、よいものはよいですし、大事なのはあなたが納得しているか否か。満足できるお葬式が出来るか否かです。
このブログを参考にしてもらっていろいろとイメージして、予算とやりたいことを明確にするお手伝いが出来たら幸いです。