- お葬式屋さんには「家族葬」というものは実は無い
- 「家族葬」のイメージが個々人で違いすぎてお葬式屋さんも困る
- 田舎だと近所付き合いも含めて「家族葬」は難しい場合もある
- 事前の打ち合わせがとても大切
- 私が実際に見た「家族葬」の事例
こんにちは、お葬式屋二年目の葬太郎です。
あなたもこのブログに興味を持ってくれているということは「家族葬」という言葉を耳にしたことがあるのではないでしょうか?
テレビや本などでも話題となっている「家族葬」
地域や家族の付き合いが少なくなっている現代において家族葬が増えていますよー!と聞こえてくると、「なるほど、ウチも家族葬にしようかな。」と考える方が増えてきています。
すると、お葬式のご依頼をいただく時も、やはりお電話を受けた後のお客様の第一声は「家族葬でお願いします。」となるわけです。
さて、ここでお葬式屋さんは困ってしまうわけです。
そしてお尋ねします。
「どのような家族葬をご希望ですか?」(注 同業者の方へ 実際は当然流れの中で聞いています)
一般家庭に浸透してきた言葉「家族葬」ですが、お葬式屋さんから見る家族葬に関して詳しくお話できたらと思います。
また、あなたも「家族葬」を考えているとしたら、どういった点を考慮しておけばスムーズに話が進むかというポイントも合わせてお話しますね。
ただ、何度も言っていますがあくまでも私の住む地域の、私の勤めている葬儀屋でのお話です。参考→お葬式のリアルについて(出来れば初めに読んでみて下さい)
もしかすると地域によっては違うこともありますので詳しくは地元の葬儀社に問い合わせてみてくださいね。
お葬式屋さんには「家族葬」というものは実は無い
はい、いきなりすぎて「えっ、何言ってるの?」とあなたが疑問に思ってしまう気持ち…よくわかります。
最近は商品名に家族葬という単語を入れているものがネットでは増えていますが、実際の葬儀を行う葬儀社では「家族葬」は「一般葬」というものの一形態に過ぎません。
お葬式の形態は一般的に
- 福祉葬
- 直葬
- 一般葬(個人葬)
- 社葬
に分けることが出来ます。
家族葬というのは、一般的なイメージだと家族、親類のみで故人様を送る葬儀。ですので、一般葬にあたります。
つまり、家族葬というのは一般葬(所謂、お通夜、お葬式、火葬を行う)を身内だけの規模で小さく行いたいというものだと私は解釈しています。つまり一般葬における「家族葬というプラン(商品)」ということです。
ただ、「私は解釈しています。」と書いたとおり、プラン内容があるところはありますが、「私」と「あなた」が思う内容が異なっているかもしれないという問題があります。
「なーんだ、そういうプランがあるならそれでいいじゃない。」はい解決。と行きたいところなのですが、お葬式ならではの問題で特に田舎では現状難しいのです。(当然将来的に一定のラインが作られるとは思いますし、もしかしたら都会では始まっているのかもしれません。)
(追記 ネットで家族葬ってよく見るけど…というご意見が多数ありましたので追記します。家族葬プランを用意しているお葬式屋さんはたくさんあります。そこでは各社毎に規定された「家族葬」の形になっていると私も思いますが、田舎ってなかなかうまく行かないことがあるんです…この後にそちらもお話します。)
さて、これが次に繋がる問題へと発展していきます。
「家族葬」のイメージが個々人で違いすぎてお葬式屋さんも困る
先程から引き継いできた問題がコチラです。
テレビなどのマスコミでは「葬儀は小さいのが流行り!」「家族葬!家族葬!!」とそこだけを強く発信するので、受け取り手としたら「なるほど!万が一の時は家族葬って言えば大丈夫なんだな!よし!」と覚えます。
いざ御不幸があった時に、「(そういえば家族葬って言ってたな。)すいませーん!家族葬で!」と(たぶん)こんな感じでご依頼をされるのだと思います。
しかしですね、入社して暫くの頃に初めて一人で「家族葬で!」という電話を受けてご依頼を伺っていると…
私「家族葬ということでお身内様何名ぐらいでしょうか?」
お客様「身内は10人くらいかな」
私「それではお料理や引物、香典返しはおおよそそのくらいでよろしいですか?」
お客様「料理とかはそれでいいけど、香典返しは300個くらいかな?」
私「ファッ!!??」
お客様「あと、新聞にも載せてな」
私「フェッ!!!???」
私「あの、家族葬ということでお身内様だけでは…」
お客様「いや、だって近所も知り合いも来るでしょ」
私(それって普通のお葬式じゃないかしら…)
うん。今思い出してもびっくりした気持ちを思い出せます。あ、ちなみに人数などは多少変えていますが、本当に内容はこのままです。
このくらい「家族葬」というものは個々人でイメージが違うのです。
「家族葬」は私のイメージやインターネットで有名なお葬式屋さんのプランだと小規模でも通夜、告別式がありながらも、儀礼的な弔問客(付き合いで来る方)などがなく、家族や親しい人のみで故人をお見送りする。という感じです。
ちなみにインターネットで有名なサイトでの家族葬プランは御礼状が30枚という想定となっています。(つまり親族以外に来る弔問客は30名程度)これだと新聞掲載や近所への訃報などは想定されていないと思います。
今回の私の遭遇した事例と比べると…だいぶ驚きますよね。あなたはどう感じたでしょうか?
そんなもんかな?思ったより小さくないかな?いろいろと意見があると思います。ですので、葬儀屋としても「どのような家族葬をご希望ですか?」という質問になってしまうわけです。
田舎だと近所付き合いも含めて「家族葬」は難しい場合もある
さて、家族葬プランというものはあるけど個々人のイメージする「家族葬」には違いがある。ということをお話しました。
次は、家族は「家族葬」でやりたいのに地域的にうまくいかないパターンのお話です。
故人様も喪主様も「できるだけ小さくお葬式をしたい」ということで、家族葬でお申し込みを頂いたのですが、故人が亡くなったことを聞いた地域の組長(ヤの付く職業の方ではありません)さんが
組長「訃報を地域に回す分300枚用意してな」
喪主「ふぁっ…いやいや家族だけでやろうと思っていますので。」
組長「ここはそうはいかない地域だから。早く用意してな」
喪主「えっ、いや…はい。」
という事で、ご近所様用の訃報を300枚用意したところ…はい。あとはもうおわかりのように、家族葬プランではまかないきれない弔問客がいらっしゃいました。
別のパターンでは、やはり喪主様が小さくお葬式を執り行いたいということでしたが、地域も無視できないということで、地域の組長さんにその旨をお話したところ
組長「んじゃ、組のみんなで手伝いやるから自宅の受付設置してな」
喪主「えっ、いや小さくやりたいので自宅の受付とかは…」
組長「あ、同じ組の人達には連絡しとくから」
喪主「ちょっ、あの…」
組長「んじゃ10人で行くから。あとは…」
喪主「……」
このようになり、結局ご近所様にお手伝い頂く以上はお食事の用意や、引物も用意しないといけない。ということになり、ほぼ一般葬になりました。
地域の方や身内親族の思いの間で板挟みになる喪主様は意外と多いです。
特に地域性によって、小さく家族葬を行うことが難しかった実例をお話しました。あなたはどう思われたでしょうか?
家を建ててそこに住むのが当たり前な地域だと、こういう事が起こります。
都会などでアパート・マンション住まいの方は違うかもしれませんが、まだまだ田舎ではこういう事が普通にあるので、都会を取材してるテレビや一部を報道するマスコミさんの意見だけを鵜呑みにしないでくださいね。
あくまでもあなたが住んでいる地域の地域性が重要です。
家族葬は本当に安いのか
ここまで、いくつか実例を交えながら「家族葬」についてお話してきました。
そこであなたも気になるのが
「結局、家族葬って安いの?」
ということだと思います。
前置きが長いのも読むのが大変だと思うので、あっさりと結論から書きます。
「特別安いわけではないです。」
何故安く感じるかと言えば、テレビなどによるイメージだと私は思っています。
細かくは別記事にてお話しますが、来る人数が少なければ当然安くなる。というだけで、家族葬だから安い。という訳ではないということを覚えておいて下さい。
上で挙げている例のように、家族葬と依頼されても香典返しが300個でご近所の手伝いもある。となってしまえば普通のお葬式と変わりません。
事前の打ち合わせがとても大切
「家族葬」という言葉がすれ違わないためにも、地域とも上手くやっていくためにも必要なこと。それが事前の打ち合わせです。
あなたが喪主になった時にどういうお葬式にしたいか。というのをイメージしてみて、それを実現するために事前の打ち合わせをして下さい。
「そんな…まだ亡くなっていないのにお葬式の話なんて…」
と、思うかもしれませんが、とても重要なことです。
今は事前の相談が用意されている葬儀社が多いです。ネット葬儀を頼むにしても地域のお葬式屋さんで執り行うとしても、いざという時は時間がありません。
お葬式はお寺の都合なども加味すると夜中に不幸があった場合、基本的に翌日お通夜、翌々日告別式ですが、最短で当日お通夜、翌日告別式なども普通にありえます。
そんな中で、真夜中に葬儀屋と打ち合わせて、朝方地域の方と調整して、身内に連絡して…という全てをこなさなければなりません。
「そんなに出来ない…」と思ってしまうほどやることが多いので、極端な例だとしても万が一に備えておくことは大事だと思いませんか?
是非、このブログのコンテンツを読んで、いろいろなお葬式の形を知ってもらって、あなたが喪主になった時に後悔しないように備えて下さい。
私が実際に見た「家族葬」の事例
上でもいくつか紹介しましたが「家族葬で。」とご依頼を受けた時の実例をご紹介します。
守秘義務があるので固有名詞や細かな状況内容は、変更してあることもある。ということをご理解くださいね。
・喪主は家族葬を望んでいたが、打ち合わせの時に声の大きい親族が「そんなんじゃ故人が可愛そう」と言い、結局大きなお葬式になってしまった。
・喪主は家族葬を望んでいたが、聞きつけた近所の方が続々と弔問に訪れて「家族葬プラン」で用意していた香典返しや料理では数が足りず、どんどん追加になって費用も時間も逼迫してしまった。
・喪主も親戚も家族葬を望んでいたが、葬儀屋と喪主と親類の家族葬というもののイメージが異なり、新聞、インターネットでの訃報の掲載、香典返しや料理の数が喪主も親類も皆でバラバラのことを言って決まらない間に当日を迎え、葬儀屋も大混乱に陥ってしまった。
まだまだありますが、細かい話はゆっくり追加していきたいと思います。
本当にいろいろなことがおこりますがお葬式屋さんは、あなたの希望に添えるように全力でサポートしたいと思っています。
なので是非、余裕があるうちに資料請求でもいいですし、エンディングノートを買ってくるでもいいですので、すこしずつ初めて下さい。
あなたの参考になれば幸いです。