- 各宗派ごとにやり方が違う
- 神社神道では玉串奉奠を行い、焼香は無い
- キリスト教は献花を行い、焼香は無い
こんにちは、葬儀屋2年目の葬太郎です。
お葬式というのは突然連絡が来るものなので、いざ、お通夜などに行くことになっても「あれ?お焼香ってどうするんだっけ?二回?三回?どうだっけ?」という時ってありますよね。
普段からしょっちゅうするものではないですし、子供と一緒に参列するときなんかは私も正しく教えてあげられているか不安でした。
あなたもそんな経験があるのではないでしょうか?
葬儀屋で働いている今となっては「お客様にご説明させていただく。」という立場ですので迷わなくなりましたが、改めてお焼香に関してまとめてみましたので是非あなたも参考にしてください。
焼香ってそもそもどういうもの?
まず、基本的な事柄ですが、焼香ってなんでしょう?私も葬儀屋に就職するまでは詳しく気にしたことは無かったのですが、せっかくなのでこの機会に調べてみました。
焼香とは
焼香(しょうこう)は基本的には仏式の葬儀でお香を焚くことを指します。線香(せんこう)と抹香(まっこう)がありますが、基本的にお葬式では抹香を使用します。
抹香焼香とは細かくした香(これを抹香といいます)を親指、人差し指、中指の三本でつまみ、宗派のやり方に沿って香炉にパラパラと落として焚くものをさします。
日常的には焼香といえば葬儀などの儀式で抹香を焚くことを指して、故人宅などでお仏壇などに線香を用いる場合は「線香をあげる」と使い分けられることが多いです。
焼香を行う意味は?
香を焚くことによって心身の穢れを取り除き、清浄な心で故人の冥福を祈るようにするためです。
お葬式では、なかなか作法や周りの目が気になって落ち着かないとは思いますが、是非ここで始めに焼香について覚えておいて、いざ焼香を行うときには是非故人様のご冥福をお祈りするようにしてください。
焼香の種類って?
立礼焼香
遺族や会葬者が遺影の前に立った状態で行う焼香です。椅子席の式場はこの立礼焼香を行います。一般的にはこのスタイルが一番多いと感じます。
基本的に順番が来ると係員に案内されますので、自分の順番が来たら隣の人に軽く会釈をし、数珠を左手に持ち、焼香台に向かいます。
座礼焼香
その名のとおり座って行う焼香です。畳敷きの式場ではこの座礼焼香を行います。基本的に立礼焼香と同じですがまっすぐ立って移動しないことが異なります。
腰を落としたまま移動し遺影の前で正座しながら焼香を行います。
回し焼香
葬儀の場が狭いときなどに用いられます。故人様のご自宅などで行う場合などもこの形式が用いられることがあります。
自分たちが動く代わりにその名のとおり香炉が回ってきます。軽く会釈をし受け取った後に焼香し遺影やご本尊に礼をし次の方に回ってきたときと同じように回します。
焼香の順番って?
あくまでも基本的な例でお家の事情によって異なる場合があります。あなたがご親族の場合は始めに喪主や葬儀屋に確認してみても良いかもしれません。
あなたが、知人や友人の場合は基本的に最後だと覚えておくと良いですよ。
焼香の順番
- 喪主
- 故人の配偶者
- 喪主の配偶者
- 故人と同居の子供(年長者から)
- 故人と別居の子供(年長者から)
- 故人の両親
- 故人の兄弟姉妹とその配偶者(年長者から)
- 故人の孫とその配偶者(年長者から)
- 故人の妻の両親
- 故人の仲人
- 喪主の仲人
- 故人の伯父、伯母、叔父、叔母とその配偶者
- 故人の従兄弟姉妹
- その他の親族
- 故人の友人、知人
このような順番が一般的です。
宗派によって焼香の仕方は違う?
基本的には同じ部分が多いですが、宗派によって微妙に異なります。
回数や押し頂く(手を上に向け額の高さまであげること)押し頂かない。その後の作法(合掌礼拝)などが異なる部分となります。
「香炉の前に進み、軽く頭を下げる。指先で抹香を軽くつまむ」ここまではどの宗派も同じです。ここからが各宗派微妙に異なるのでこの後について解説します。
各宗派ごとの焼香の仕方
天台宗
つまんだ抹香をそのまま香炉にくべて合掌礼拝する。(通常は一回だが丁寧にする場合は三回繰り返す)
真言宗
つまんだ抹香を軽く押し頂いて香炉にくべる。(三回繰り返す)その後、合掌礼拝する。
浄土宗
つまんだ抹香を軽く押し頂いて香炉にくべる。(何度でもよい)その後、合掌礼拝する。
浄土真宗
つまんだ抹香をそのまま香炉にくべる。(一回のみ)その後、合掌して南無阿弥陀仏と三回唱えて拝礼する。
真宗大谷派
つまんだ抹香をそのまま香炉にくべる。(二回のみ)その後、合掌して南無阿弥陀仏と三回唱えて拝礼する。
真宗高田派
つまんだ抹香をそのまま香炉にくべる。(三回のみ)その後、合掌して南無阿弥陀仏と三回唱えて拝礼する。
時宗
つまんだ抹香をそのまま香炉にくべて合掌礼拝する。(二回繰り返す)
曹洞宗
つまんだ抹香を一回目は軽く押し頂いて香炉にくべ、二回目はそのままくべる。その後、合掌礼拝する。
臨済宗
つまんだ抹香をそのまま香炉にくべる。(一回のみ)その後、合掌礼拝する。
日蓮宗
つまんだ抹香を軽く押し頂いて香炉にくべる。(一回、または三回)その後、合掌礼拝する。
日蓮正宗
つまんだ抹香を軽く押し頂いて香炉にくべる。(三回繰り返す)その後、合掌礼拝する。
創価学会
つまんだ抹香を軽く押し頂いて香炉にくべる。(三回繰り返す)その後、合掌礼拝する。
※あくまでも一般的な解説であり、地方やお寺によって異なる場合があります。
神式の場合はどうするの?
神式の場合は玉串奉奠(たまぐしほうてん)という捧げものをします。
玉串奉奠の詳しいやり方は別のページにまとめていますので参考にしてくださいね。
→玉串奉奠についてはこちら
キリスト教や無宗教はどうするの?
キリスト教や無宗教の場合は献花(けんか)といい花を手向けます。
しかし、以前ではNGだったのですが参列者の多い葬儀でカトリックの一部では、焼香を認める場合も出てきているようです。
というのも、献花の場合、もし参列者が予想より多く花が足りなくなると、どうしようもなくなってしまうからです。
しかし焼香なら抹香を追加するだけで花と違い大人数にも対応できるためだと言われています。
あくまでも焼香を認めるのはキリスト教でも一部であり、葬儀社で働く私も実際にはまだ出会っていませんので、その程度のことだと考えていただき、基本は献花であると思っていただければ、と思います。
→献花についてはこちら
※エホバの証人のお葬式に関する問い合わせが多かったので、そちらもまとめました。
やり方がわからなくなってしまった時は
葬儀以外で焼香を行うことは、現代では特定の宗教に熱心に通っていない限りなかなかないと思います。
ですが、やはり儀式に参加するのである以上、最低限のマナーは覚えておくのが大人のたしなみですので、基本的な事は出来るのが望ましいと思います。
とはいってもなかなか細かくは覚え切れませんよね。今は葬儀社も参列者の方に、焼香方法や玉串奉奠のやり方などの説明を入り口で渡したりして、出来るだけ参列者の方々の不安を取り除けるようにしています。
また、現代では焼香の回数や押し頂いたり頂かなかったりというのは、特に気にされない場合も多いです。
また、私もそうだったのですが、葬儀社で働く際に基本的な儀式の行い方は覚えますので、わからないことは遠慮なく葬儀社の人に聞くと教えてくれます。
ですので、あまり構えず故人の冥福を心から祈り、ご遺族の心を慰めることを一番に考えてくださいね。
あなたの参考になれば幸いです。